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ローマの文化

ローマは紀元前1000年頃にエトルリア人たちが王国を建てて以来、西ローマ帝国の滅亡までの約1400年間、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)も含めると2000年以上の長い歴史を持ち、それ故に様々な文化も生まれた。彼らの豊かな生活は古代ギリシャの哲学者セネカが「ローマ人は食べるために吐き、吐くために食べる」と形容したことからもうかがえるだろう。

→ローマはギリシャ支配下に入れ、その後ギリシャ文化を地中海全域に広めた。ローマ人たちはギリシャから得た知識を存分に活かし、応用していった。また、中世キリスト教世界で司祭らの公用語とされたラテン語もローマ人がもともと使っていたものである。

→ローマの土木、建築技術は現在でも高い評価を得ている。凱旋門やガール水道橋、コロッセウムなどが建設された。都市ローマには最大で100万人の人が生活していたとされている。


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ガール水道橋。世界遺産となっている。

(Ignis作、wikipediaより)


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コンスタンティヌス凱旋門

→また、ローマの法律は現代にも影響を及ぼしており、かつての元老院の呼び名であるセナトゥス・コンスルトゥム・ウルティムムは現在のアメリカ合衆国上院であるユナイテッド・ステーツ・セネートの語源となっている。6世紀には東ローマ帝国ユスティニアヌス帝によって編纂された「ローマ法大全」はその集大成とされている。

→文学や哲学の分野でも様々な作品、考えが生まれた。アウグストゥス時代はラテン文学の黄金期と呼ばれ、ウェルギリウスの「アエネイス」などが有名である。また、歴史も記述され、ポリビオスやプルタルコスなどが有名である。哲学ではストア派が強い影響を与え、五賢帝のひとりであるマルクス・アウレリウス・アントニヌスは「自省録」を著した哲人皇帝として知られている。


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人皇マルクス・アウレリウス・アントニヌス

→自然科学も発達し、プトレマイオスによって天動説がすでに唱えられており、ルネサンスの到来までヨーロッパでは正しいとされていた。

 

まとめ

土木、建築 ガール水道橋、コロッセウム、凱旋門アッピア街道などが有名。

法律 十二表法から発達したローマ法は現代にも影響を及ぼしている。6世紀の「ローマ法大全」が集大成。

文学 ウェルギリウスの「アエネイス」やオヴィディウスの「転身譜」などが有名。

歴史 ポリビオスの「歴史」やカエサルの「ガリア戦記」が有名。

哲学 ストア派が強い影響を与えた。セネカキケロマルクス・アウレリウス・アントニヌスが活躍した。

自然科学 天動説が説かれた。百科事典である「博物誌」がプリニウスによって編纂された。

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