サクッとわかる高校世界史

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ササン朝ペルシアの登場

クテシフォンに都を置いたパルティアはアルダシール1世によって滅ぼされ、イラン人によるササン朝が成立しました。アルダシール1世はゾロアスター教を用いて国の統一をはかりました。

→アルダシール1世の後を継いだシャープール1世はローマ帝国と戦い、皇帝ウァレリウスを捕虜とする戦果をあげ、東方にも拡大していった。

→5世紀には遊牧民エフタルの侵入をうけ弱体化した。ホスロー1世は突厥というトルコ系遊牧民と協力してエフタルを滅ぼし、アナトリア半島(現在のトルコあたり)にあったビザンツ帝国との戦いも有利に進めた。このころ日本には仏教が伝来し、中国では北魏によって華北が統一されていた。また、ヨーロッパではローマ帝国が東西に分裂したあとの西ローマ帝国が滅亡した。

→ホスロー1世の死後、再び弱体化し、642年に起こったニハーヴァンドの戦いでイスラーム教徒に敗れ、651年に滅亡した。イスラーム教はこのあとさらに勢力を広げていった。

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チャドル(黒い服)を着たイスラム教徒の女性

(Fabienkhan作、wikipediaより)

 ササン朝時代にはゾロアスター教の教典である「アヴェスター」が編纂され、3世紀にはマニによって仏教やゾロアスター教キリスト教の混ざったマニ教が創始された。また、美術や工芸が発達し、ササン朝で作られた工芸品は日本にも伝えられ、例えば正倉院の漆胡瓶などが有名である。

 

まとめ

ゾロアスター教 火を崇拝していたために拝火教ともいい、世界を善の神アフラ・マズダと悪の神アーリマンとの戦いであると説き、最終的にはアフラ・マズダが勝利するという考えを持っていた。この考えはキリスト教ユダヤ教にも影響を与えたと言われている。教典はアヴェスター。
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皇帝 アルダシール1世(建国)→シャープール1世(ローマ帝国との戦い)→ホスロー1世(エフタルとの戦い)

 

古代オリエント世界の解説は以上で一旦完結とします。次回からは古代ギリシャ世界を解説していきます。古代ギリシャではソクラテスプラトンなどの高名な哲学者が登場し、数学などの分野ではギリシャ文字が現在も使われています。また、民主政治の考え方が誕生したのもギリシャの地でありました。